菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

和歌山県議会調査

調査報告書はこちらです。

第1節 調査の概要

 和歌山県議会を訪れ、議会事務局の職員6名より議会運営についての説明を受け、意見交換を行った。その後、議会施設の視察を行った。

第2節 議会だよりのレイアウトコンペ

 和歌山県議会では平成19年度まで、議会の広報を「県民の友」という行政広報紙のページを借りる形で行っていた。平成20年度から、議会だよりとして議会独自に行うにあたり、事務局がレイアウトを行うのではなく、いくつかの条件を提示し、業者にレイアウトのコンペを行わせることにした。地元の2業者がコンペに参加し、1社が議会だよりのレイアウトの作成契約を行った。ちなみに、年間の費用は237.5万円である。

 

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写真:わかやま県議会だより創刊号の一部 各々プライベートの写真を掲載

 写真は、わかやま県議会だよりの創刊号である。農作業の風景であったり、子供(孫?)を抱いている写真であったり、各々の議員がプライベートの写真を掲載している。これは、県民が議員に対してより親しみを持ってもらえるようにと業者が提案した内容である。

 このように、レイアウトのコンペを行ったことで、型どおりのお役所的なデザインにならなかったとのことである。

第3節 政策条例

紀の国森づくり税条例

 平成17年、和歌山県議会では、政策条例を策定しようという動きが活発化した。折しも和歌山県では、全国有数の森林県として、森林保全についての議論が行われていた。そこで、森林を保全するための取り組みとしての条例制定ができないかということで検討が行われた。

 結果的に、全国発の課税自主権を発動した県民一人当たり年間500円を課す「紀の国森づくり税条例」及びその収入の受け皿としての「紀の国森づくり基金条例」を平成17年12月定例会で制定した。但し、税金を県民に課すことに対して多くの批判や、税金を課す前に行政及び議会の歳出削減をすべきであるという意見があったのも事実である。

 条例制定の必要性という根源的な議論はあるが、課税自主権を行使する条例を議会側から提案したという取り組みは参考に値する。

第4節 その他

議員定数

 和歌山県議会の法定上限数は46名であり(地方自治法90条2項二)、実際の定数も46名である(全国で唯一法定上限数が議員定数)。しかし、平成23年の統一選挙までには県人口が100万人を割り込む見通しが確実なため、仮に現在の定数で選挙を行った場合、違法状態が生じることになる。つまり、議会の意思とは無関係に、最低1名の議員定数の削減をしなければならない。そこで、厚生省国立社会保障人口問題研究所の調査結果などを参考にしながら、議員定数の削減の議論が行われる予定である。

議連に対する事務局の対応

 和歌山県議会では、議員連盟が直接専属のスタッフを雇っている。その経緯を伺うと、原則として任意の団体である議連の活動を事務局が補佐すること自体に県民からも疑義があり(以前は税金も投入されていた)、事務局側から議員に提案をして、このような決着になったとのことである。但し、議連の会長の為の部屋があり、各々の会長に机が支給されている。本県においては、議連や部活などの諸活動についての位置づけについて明確な規定を持たないが、今後は考えていく必要がある。

第5節 和歌山市議会

調査概要

 和歌山市議会を訪れ、調査課副課長に議場の施設案内をして頂き、意見交換を行った。和歌山県議会の章であるが、併せて触れる。

丁寧な受付対応

 和歌山県議会を訪れて印象的であったのは、受付が独立して存在し、その対応も丁寧であったということである。過去の報告書でも何度か触れているが、議会は基本的に閉鎖的で開かれているとは言い難い雰囲気を持っているものが少なくない。受付もなく、事務局のスタッフに声をかけると不思議な顔をされるという経験をしたものも少なくないと思われる(議会にくる一般人自体が少ないということもあるのであろうが)。

 議会に来る人は、議会関係者が思っている以上に緊張をして議会にやってくる。議会という期間は、私たちの思いとは裏腹に非常に敷居が高いのである。開かれた議会を訴える本県においても、議会としての受付は存在せず、県民の視点に立っているとは言い難い。人員の問題及び施設の構造的な問題など検討する課題はあるが、より県民が訪れやすい雰囲気を構築することは検討しなければならない。

第6節 まとめ

 和歌山県議会の議会だよりのレイアウトコンペは非常に興味深い取り組みである。また、課税自主権を行使した政策条例は、政策条例の推進を進める本県においては参考になるかもしれない。

 また、和歌山市議会における受付は開かれた議会の取り組みとしては参考になる。必ずしも受付を設けなければならないわけではないが、県民が声をかけやすい状態を作ることは重要である。本県議会でも検討したい。