菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

特権と奇行で終わらせるか

特権と奇行で終わらせるか

●何故、廃止すべきか

 先週は2回程永田町に行く機会がありました。両方とも議員

年金についてですが、1つめは与党の議員年金に関するプロジ

ェクトチームにおいて制度概要と廃止方法に関する説明を依頼

されました。二つ目は地方議会議員年金制度の廃止にかかる運

動を行っている地方議員や国会議員を中心とした集会にコメン

テータとしてお呼びがかかりました。私が議員年金に関するマ

ニアックな本を出版したためだと思われますが、自分が世の中

に発信したことに対する反応があったことは嬉しく思っていま

す。

 さて、その際に私が触れたことで最も強調したことは「何故

地方議会議員年金制度を廃止すべきか」ということを改めて

考えて欲しいということです。同制度が様々な点で矛盾や問題

点を抱えていることは主観的にも客観的にも事実であり、多分

議論の余地はありません。従って、早晩廃止される制度ですし

、今の国の流れを見ると今年度中に廃止の方向性が確定すると

思います。これは、今までこのような運動を続けてきた方々の

成果であり、深く敬意を表します。

 但し一点だけ危惧していることがあります。それは、未だに

この制度が「特権だから」廃止すべきであると言って止まない

人たちがいることです。確かに、ある争点に対して住民や国民

の関心を引くために、ある程度誤解を恐れずに扇動する(アジ

る)ことは必要悪であると思います。しかし、ある程度廃止の

方向性が明らかになった時点においては、そのような扇動は控

え、物事の本質に立ち返って運動の趣旨を再考する必要があり

ます。

 私の著書でも触れていますし、先日の集会でも多くのコメン

テータが触れていましたが、議員年金制度は「特権」では決し

てありません。従って、今までの扇動方法の半分は、言葉は悪

いですが、嘘をついて関心を惹きつけて来たのです。しかし、

特権ではないにせよ、制度に大きな欠陥があり、国民の税金の

多くが浪費され、存在自体が問われているのは事実です。但し

、仮にこの制度が廃止され、特権的な制度がなくなった万歳的

に終止符を打ったら、多分今までの運動の目指してきたことの

意義の大半が失われることになるでしょう。

 なぜなら、同制度の問題の背景には、地方議会や地方議員の

あり方、もっと踏み込んで言えば「住民自治」のあり方が存在

し、この制度の廃止を住民自治のあり方を検討する契機にしな

ければ、問題の本質を闇に葬り去ってしまうことになるからで

す。

●名古屋の奇行

 名古屋市が話題です。議会と首長の関係が極限にまでこじれ

、住民を巻き込んだ泥仕合の様相を見せています。しかし、首

長は住民の大きな支持を受けてリコールのような運動を先導す

るものの、最近では議会関係者だけではなく、識者からも厳し

い意見が首長に向けられています。

 私が河村市長の動きで評価する点は、良くも悪くも地方議会

地方自治に関する関心を高めているということです。確かに

、彼らのやり方が上手いやり方かと問われれば、問題点も多く

あると思います。しかし、それ以上に後ろ向きで住民自治を軽

視してきた議会のあり方にこそ問題があります。従って、今の

形骸化した地方議会を住民の目線で再構築するためには、両首

長のような荒療治も必要悪であると考えます。

 但し、一点危惧するのは、定数や報酬削減の議論に終始して

、「特権廃止をしました」で終わってしまう可能性があること

です。やはり、この運動を契機に議会のあり方を真剣に考える

必要があるでしょう。また、議会関係者(特に議員)の中には、

市長の動きを「奇行」として市長個人の問題として済まそうと

している者もいますが、当事者である議員もタブーを恐れず住

民目線で自己改革を共に行っていくべきです。

●最近の動向

 最近、シンポジウムや集会などに呼ばれる機会も多く、様々

な議会関係者や識者にお会いする機会が増えました。地方自治

を専門分野の1つとして活動している私が希望の光を見出すの

は、まだ少数ですが地方自治の事を真剣に考えている人が増え

て来たことです。例えば、集会に顔を出していたある参議院

員は、住民自治の必要性と議会に女性が少ないことを指摘され

ていましたが、同感です。また、先日の勉強会でお知り合いに

なった市議会議員は、議会で住民が自由に発言できる機会を増

やすべきであると言っておりました。固定観念に捉われない柔

軟な感覚だと思います。

 ここ数年が地方自治の大きな山場であると思います。現在、

各自治体で起こっている様々な潮流もその予兆であると思いま

す。