菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

7月14日 菅原直敏 会派代表討論

会派を代表して討論を行いました。

みんなの党 神奈川県議団 菅原直敏議員による 討論

みんなの党神奈川県議会議員団を代表して、本定例会に提案された議案のうち、6月29日に付託された諸議案に対して、所管常任委員会の審査結果も踏まえ、賛成の立場で討論を行います。

まず冒頭に、去る3月11日に発生しました東日本大震災により、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、犠牲になられた方々のご冥福とご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。

討論に入ります。

定県第43号議案から定県第56号議案及び定県58号議案については、提案説明及び各常任委員会の質疑の経過等を踏まえて、賛成します。

なお、定県第50号議案に関連して、文教常任委員会において斉藤たかみ委員が指摘したように、土壌汚染に関する因果関係を究明し、適切な処置を講じ、また騒音被害対策等も考慮した上での射撃場再開を求めます。

また、定県第51号議案に関連して、総務政策常任委員会において城田学委員が指摘したように、不動産処分については処分の時宜を見定め、県有財産の効果的な処分に努めるよう求めます。

次に、定県第42号議案 平成23年度神奈川県一般会計補正予算第2号についてです。本案件については賛成をいたしますが、特に子ども手当の県負担について、会派内でも非常に多くの議論がなされましたので、賛成の理由について詳しく申し上げます。

そもそも、子育て支援神奈川方式と子ども手当の県負担は、従前の県の政策論的には並立しえない施策であり、今回の負担容認は実質的な県の政策転換であると私どもは認識しています。負担理由として、県は①震災の影響、②つなぎ法案であること及び③市町村への影響等を挙げておりますが、どの理由も政策転換の理由づけとしては弱いと考えるのは、代表質問で塩坂源一郎議員が指摘した通りであります。

確かに、子育て支援という視点に立てば、更なる子育て支援予算の拡充は特に子育て世代にとって望ましいことかもしれません。しかし、財政論の視点に立つと、本県は既に他自治体が今回子ども手当の負担分として負担する以上の予算を神奈川方式に投入しており、今回の約65億円の負担は、他の自治体には存在しない謂わば「二重の負担」とも捉えることができます。従って、本来であれば本案件についてもっと財政的な視点からの議論が必要であったと申し上げます。

このような経緯を指摘したうえで、本案件に賛成する理由を申し上げます。

まず、知事の就任間もなく適正な政策判断が困難であったことです。この子育て支援神奈川方式と負担金の議論は、前知事を中心として多分に繊細な政治判断の上に行われてきた側面があります。従って、県財政や今までの経緯に不案内な知事には非常に困難な政治判断であったと考えます。

次に、国の審議の遅れによって、本案件についての十分な議論を尽くす余裕、及び県民への周知期間が非常に少なかったということです。全てを国の責任にするつもりはありませんが、やはり国の地方自治に対する不理解が本問題の根底にあると考えます。知事におかれましては厳しく国に対して抗議をするように求めます。

さらに、総務政策常任委員会において、可能性は低いとしながらも、10月以降については負担拒否も含めた総合的な検討を行うと答弁されたことです。国政の混乱を鑑みると10月以降どのような方針になるかも予断を許しません。しかし、今回と違って不測の事態への準備期間もあるわけですから、総務政策常任委員会で指摘したような様々な可能性について検討をし、毅然とした態度で国と対峙していくことを求めます。

以上の理由から、今回の子ども手当の県負担について理解をしますが、約65億円が「二重の負担」であることに変わりはありません。従って、この財源の位置づけを明確にし、中長期の視点から行財政改革を徹底することで、負担の平準化を図っていくことを提案します。

さて、ご自身がおっしゃるように圧倒的な支持を受けて当選された黒岩知事は、県民の大きな期待を背負っての船出であると思います。私どもも、知事の訴える提案の中身を吟味し、よいものであればしっかりと応援をしていきたいと考えております。是非、県民の期待を裏切らないような的確な県政運営を今後は行っていって頂きたいと考えます。

そこで、最後に補正予算の審査等に関連して2点ご提案申し上げます。

まずは、財政規律についてです。今回の一連の議会でのやりとりを伺っていて、知事の神奈川県財政に対する理解が十分でないと感じる場面が少なからずありました。確かに、太陽光等、自らが推進したい政策を前面に打ち出すことは必要ですが、どのような政策も財源の裏付けがあってこそ成立します。これは、1年間或いは知事の任期の4年間といった短期的な視点ではなくて10年20年先をも見据えた長期的な視点に立った財政の裏付けです。

従って、何よりも先に時の知事がすべきことは、県財政の現状把握に努め、自身の財政規律に対する考え方を早急に構築することであると考えます。財政規律がしっかりと確立できなければどんなに素晴らしい政策を語ろうとも絵に描いた餅です。知事におかれましては早急に県財政に対する研鑽を行い、財政規律に対する知事なりの考え方を構築されることをご提案申し上げます。

次に、政策の優先順位についてです。知事の所信表明や様々な言動を勘案すると、太陽光エネルギーが政策の最優先課題のようであります。確かに、震災後の国の惨状を見れば、日本国として太陽光も含めた再生可能エネルギーへの転換を図っていくことは重要な政策課題であると考えます。しかし、本県に目を向ければ、太陽光パネルに対して注力することが必ずしも県政の最優先課題であるとは私どもは考えません。

他の会派の質疑の中でも触れられていましたが、福祉や教育の分野にこそ、地味かもしれませんが、継続して取り組まれてきた重要な政策課題は山積していると考えています。どうか太陽光にばかりのめり込まず、地味だけれどもしかし切実な課題が山積する分野についても太陽光以上の力を注ぎ、スポットライトを当てて頂けたらとご提案申し上げます。

また、我が会派の主張でもあります公務員制度改革も含めた行財政改革についても、知事の発言はあまり聞かれません。県財政がひっ迫する中において、これらは率先して取り組まなければならない県政の最重要課題であると指摘させて頂きます。

終わりになりますが、知事は5月19日の本会議場での所信表明において「前例がないからといって、実行をためらうことがあってはなりません。前例や規制を前提にできないと考えるのではなく、実行するために何ができるか考えていきます。」と述べられています。非常に素晴らしい表現です。今後は、知事の得意とする分野だけではなく、私ども議会の政策提案についても、「何ができるのか」という視点で真摯にお応えいただけたらとお願い申し上げます。

以上、指摘・提案すべき点を申し上げ討論を終了いたします。