菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

【メルマガ】鎖国国家その1〜日本人よ挑戦者になれ

メールマガジン(携帯版・PC版)を発行しています。以下の文章は、メルマガ「カエル通信」からの抜粋です。

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 最近、一つの確信を持つに至りました。それは、日本が再び「鎖国状態」になったということです。

 毎年多くの日本人が外国を訪れ、外国人観光客も増えています。日本にいながら、外国の製品を買うこともできるし、考えも知ることが出来る。江戸時代に長崎の出島だけを外国との窓口とし、外国文化の普及を国策として規制していた時代と比較すれば、今の時代を「鎖国」と呼ぶことに違和感を感じる人もいるかもしれません。

 しかし、私は敢えて今の日本は鎖国状態にあると言いたいのです。それは国の表面的な状態ではなく、多くの日本人の心の中の状態です。つまり、現在日本人は「心の鎖国」状態にあると考えます。

 多くの日本人の心が鎖国状態に陥れば、国民によって運営される国も鎖国状態になります。そして、そのことが、様々な分野において日本の発展・成長を妨げています。

この視点から私が感じている雑感を何回かに分けて考えて行きます。

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ドク「日本製だ(だからダメなんだ)!」

マーティ「日本製は最高さ!」

ドク「信じられない!」

 これは、映画「Back to the Future PartⅢ」の中で、壊れたタイムマシンであるデロリアンの中に日本製の製品が使われているのを発見した科学者のドクと主人公のマーティの間で交わされた会話です。

 1955年から来たドクには、その時の日本製品のイメージがあり、現代である1985年に生きているマーティには発展を遂げた日本の現状から答えています。1985年に生きている人から見れば日本製品が世界でも最も優れた工業製品の一つであることは常識です。ここにこの会話の面白さがあります。

 物事は常に変化しています。ましてや30年もの月日が流れれば、焼け野原であった国が復興し、経済的に世界の経済大国に脱皮してしまうことも可能であることを私達日本人自身が証明しました。従って、ある特定の時期に構築された国や地域イメージというのは、10年もすれば陳腐なものに成り下がってしまう可能性は十分にあるのです。ましてやドッグイヤーの時代です。

●現実を直視できない日本人

 大手の日本家電メーカーが束になってもその売り上げに届かない会社が韓国にあります。サムソンです。これだけ状況が明らかになってようやく日本人もサムソンの世界的な認知度の高さに気付くようになってきましたが、かなり前からサムソンの売り上げやブランド力は日本勢と同等かそれ以上に戦ってきており、世界においてはサムソンが一流企業であることは世界の常識でした。世界各国の空港で出迎えてくれるのは、サムソンの看板です。

 しかし依然として韓国の現状を「技術力はまだ日本が上」、「国を挙げて応援をしているからだ」、「やっていることは所詮モノマネ」などと揶揄する日本人は少なくありません。これだけ企業成果に差が出てしまうと負け惜しみに聞こえなくもないですが、依然として根強い意見です。

私は以下の場面にデジャヴします。

日本「韓国製だ(だからダメなんだ)!」

世界「韓国製は最高さ!」

日本「信じられない!」

 まさに、現在の日本の状態はBTF3のドクです。ただ、ドクと日本の違いは、ドクは30年前からタイムマシンで現代に来ましたが、日本はこの30年間の韓国の成長を横目に現代まで来たことです。ドクが30年間生きた上で現代にいたらあの発言は出てこなかったでしょう。

 つまり、日本は30年間タイムマシンに乗ったように外界の流れから疎外されてきた、いや自分自身を疎外させてきたのです。見るべき現実から目を背けるという「心の鎖国状態」にあったからです。

●日本人のアジア観

 「日本はアジア諸国に遅れをとっており、多くのことを学ばなければならない。」旨の発言を、世界で活動をしている日本人の方々から聞く機会がここ数年増えてきました。先日参加したリークアンユー公共政策大学院のウェルカムパーティでも日本側で挨拶に立たれた方がそのようにおっしゃっていました。

 これは何も社交辞令ではなく、海外で活動している日本人が感じる素直な発言であると思いますし、前述した多くの日本人が持っている強弁よりも私の胸にはストッと腑に落ちます。彼らが堂々とそう述べられるのは、心が鎖国状態にないからです。

 もちろん、社会インフラや経済力等様々な点で比較したら、日本はアジア地域において最も進んだ国であることは事実ですが、マインドという点では完全に抜去られていると感じます。そして、マインドがあるからこそ、アジアの他地域から学ぶことは多いのです。

 日本は周回遅れになっているのに気付かずに、後ろにいるランナーを見て安堵しているようなものです。日本人は深層心理にある「自分たちはアジア諸国に勝っているはずだ(逆に、欧米は日本に勝っているはずだ)」というイメージを捨て去り、その現状を直視するべきです。イノヴェーションのためには正しい現状認識を持つことが前提条件だからです。

 そのためには日本は既にディフェンディングチャンピオンではなく、挑戦者なのだという謙虚なマインドを持つことが重要であると考えます。

 つまり、心の鎖国状態を解き放つ必要があるのです。

 現在は2012年です。皆さんのアジア観・世界観は1985年からどのくらい変化していますか?