菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

税制をもっとシンプルにしよう!

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税制をもっとシンプルにしようという「税制の簡素化」は私自身がずっと訴えていることの1つです。

 最近、消費税の税率の議論の中で食料品にかかる税率を据え置く「軽減税率」議論がなされていますが、基本的に私は軽減税率の導入は避けるべきであると考えています。なぜなら、軽減税率を導入することで税制が複雑化し、様々な点で非効率を生みだす可能性が高いからです。なお、消費税の逆進性対策としては、所得税社会保障の給付の分野で対応する方が効率的かつ効果的であると考えます。

さて、私が税制の簡素化を提案する理由は大きく分けて3点です。国民の税制に対する理解の促進、徴税コストの低減及び民主主義の深化です。

●税制に対する理解の促進

 皆さんは日本の税金の種類がどのくらいあるかご存知でしょうか?また、税体系を理解しているでしょうか?多分、ほとんどいないのではないかと思います。実際、神奈川県の税理士の方々と意見交換をする機会を先日頂きましたが、税の専門家である税理士ですら日本の税体系の全てを把握することは困難だそうです。

 制度が難しくなればなるほど、私達国民は相対的に不理解な状態におかれます。無知な人間には付け込む人がいるのが世の中の常です。役人や一部の政治家はこの国民の無知に付け込んで、国民に不利益を被る税徴収を行うこともあります。その対象は主に弱者です。

 また、複雑になればなるほど、専門的な知識を持つ人間が法の網をかいくぐり不当な利益を得ようとします。お金を持っている人ほど、税や法律の専門家を使って税逃れをしようとします。かつて総務大臣まで務めた方の中にも住民票を国外に移すなどして節税対策をしている人がいましたが、残念ながらお金と知識がある者が徴税を逃れています。

 税制が簡素化されればされるほど、このような不公平は是正されます。

●徴税コストの低減

 税目が多ければ多いほど、また税の算出方法が複雑であればあるほど、税の徴収にかかるコスト(人件費や事務費)は増大します。税の徴収コストは税金です。従って税制を簡素化すれば、税金が安くなることになります。

 例えば、自動車関連税は自動車税自動車取得税及び自動車重量税の3税あります。これらの3税は納付対象・時期等異なりますが、これらを一本化して自動車を取得した際や車検の際に徴収するように一本化すれば、各県にある自動車税事務所は不要になります。

余談ですが、自動車に関する税金がここまで多岐に渡るのは日本くらいですし、最も滞納が多い税金の1つもこの自動車関連税です。

自動車税以外でもこのことは当てはまります。さらに、社会保障分野等も含めて制度の簡素化を行えば、その経費節減効果は相当なものになります。税収や保険料収入等、国の収入に関わる収入を一括で徴収する省庁を作ろうという「歳入庁構想」はまさに税の簡素化の具体的な政策の1つです。

●民主主義の深化

 税金がどう使われるかに関心を持つことから住民自治が始まると強く訴えるのは、片山善博総務大臣です。これは卓見です。

 元来、王様が自由に税目や税率を決められていた時代に、この権限を国民の手でコントロールしていこうという理由で始まったのが議会制民主主義です。つまり、税こそが民主主義の根幹と言えます。

 しかし、税制が複雑すぎて、国民はこの民主主義の根幹の議論に参加できなくなってしまいました。消費税が話題になるのは、そのわかりやすさからですが、消費税は税体系の一部でしかありません。

 従って、税制を簡素化すればより多くの国民が税制を理解し、民主主義の根本的な議論に対してより適切な判断を行っていけるようになるでしょう。民主主義が深化します。

●朝三暮四

 朝三暮四という諺があります。中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという「荘子」斉物論などに見える故事に由来します。これが転じて、目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますことを言います。

 今の日本人はまさにこの故事に出てくるお猿さんではないでしょうか。例えば、消費税の軽減税率も導入を提案する政治家でさえ、弱者救済としての効果が限定的であり多くの問題を抱えていることは知っています。よりより提案は多少分かりにくく、説明が必要です。

しかし、国民が税について知らない状態である限り、政治家がこのような小手先のごまかしの議論を提案するのもやむを得ないのかもしれません。

従って、国民が不理解な状態にいなければならない税制の複雑性を解消して、税制を国家運営や自治体運営の目的を達成できる範囲で最大限簡素化していくことが必要であると私は考えています。