シンプル イズ ベスト
前回2回に渡って税制の簡素化について取り上げましたが、私は税制も含めた全ての法律や諸制度を「全国家及び自治体運営に支障のない範囲内で最大限に簡素化すべきである」と考えています。
ここには議員及び雇用主としての経験がその思いの根底にあります。
●議員としての経験〜標準的な人間が理解できない制度設計
私は小学校から高校まで公立学校で教育を受け、私立の4年制の大学を卒業しています。特別優秀なわけではありませんが、日本人としての教育水準としては標準的なレヴェルには達していると思います。
また、議員ですので普通の社会人の方々よりも国や地方自治体の諸制度に触れる機会も多いですし、学ぶ機会にも恵まれています。
しかし、そのような私が社会保障や税制等の基本的な部分全てを把握しているかと問われたら、答えはNOです。これらを理解しようと思ったら、相当時間を割いて専門的な勉強をしなければなりません。
多分、国会議員ですら税制や社会保障の全容を理解している人は少ないのではないでしょうか。
私達が不勉強であったり頭が悪いわけではなく、身近なことを規定する法律や諸制度が一般人が理解するには複雑すぎるのだと考えます。私達に身近な税制や社会保障がこのような理解するのに困難な状態であることは、非常に問題があると思いました。
●雇用主としての経験〜煩雑すぎる手続き
県議会議員になってから、政策スタッフを雇っています。当然ですが社会保障や税も含めて完全な状態で雇用しています。そんな私が毎年憂鬱なのは6月頃にやってくる被用者の税や社会保障にかかる手続きです。
専門家に頼まず自分自身で手続きをやっている雇用主であれば理解してもらえると思うのですが、全ての手続き内容が煩雑で、おおよそ真面目に税金や社会保障費を支払う事を拒絶しているかのような制度設計です。
このために、税務署や社会保険事務所は非常に多くの問い合わせを受け、その対応に多くの人件費や事務費を費やしている事は想像に難くありません。
●専門家がいない事が理想
誤解を恐れずに極言すれば、弁護士、税理士、社労士など専門家が必要なくなるくらい簡素な制度があれば理想的です。複雑な制度は、一部の専門的な知識を持つ人間を富ませ、弱者を逆に虐げます。
消費税が常に国民の争点になり続けるのは、簡素でわかりやすい税目だからです。即ち、他の諸制度も消費税のようにわかり易い設計になれば、国民はもっと民主主義を通じて適切な判断をすることができるようになるでしょう。
官僚主導の国家運営を打破する為には法律・諸制度の簡素化は非常に重要な論点であると考えます。