最近の政治的なトピックへの雑感(たまには毒舌もお許しを)
1. 都議会のヤジ問題
● 論点の整理
「野次の内容の是非」と「野次の是非」の問題は別の論点であり、切り離
して議論されるべきではないだろうか。どこか混在しているような印象を
受ける。
● 日本男児の常識
野次を受けた都議が外国人記者クラブで会見し、「日本男児の『大多数』
が、野次の内容のような差別的意識を持っている」かのように世界発信さ
れてしまったようだが、野次をした都議の活動履歴(尖閣諸島に上陸すると
いう公人としては常識はずれな行為等)からも分かるように、彼こそがむし
ろ日本男児の例外的意識保持者であり、日本男児の多くはそのような意識
を持っていないことを私は世界に発信したい。今回の問題がここまで大き
くなったのは、女性達が声をあげたことだけではなく、むしろ男性の中に
もこの発言に対して違和感をもつ人々が多かった証左である。
● 地方議会の文化
「野次の是非」は、「地方議会の問題」ではなく、各地方議会の「議会文
化の問題」である。かつて私が所属していた当時の大和市議会では野次の
類いは一切なく至って平穏であり、むしろ拍手をしただけでベテラン議員
ににらまれた同僚がいたくらいだったが、逆にその次に所属した当時の神
奈川県議会は野次だらけの議会だった。それくらい議会によって野次に対
する議員の意識は違うものということだけは理解していれば、「地方議会
の問題」としては議論されないはず。
● 野次禁止の論拠
「野次の是非」について、禁止すべきという人の中に「民間の会議ではあ
り得ない行為だから」ということを論拠とする人がいる。私はこの論拠は
少し乱暴だと考える。民間の会議と議会が必ずしも100%同じものであるわ
けではないからだ。今はインターネットでも議会中継をしている議会が大
半なのだから、自分の目で議会を見た上で、しっかりとした論拠をもって
そのような結論にするべきでないだろうか。そうであればどちらの結論で
あっても説得力がある。いずれにせよ、普段まったく注目されない地方議
会に対して多くの耳目が集まったのだから、これをきっかけに一般の人に
は自分の地域の地方議会を是非傍聴して欲しい。悪いところばかりでもな
いですよ。
● 神奈川県議会
県議会では定例会ごとに傍聴者へのアンケートをとっている。その中で悪
かった点として出ているのが「野次」だ。議員の中でもこの内容を真摯に
受け止めている人が少なかったと思われる為(多分アンケートをとっている
こと自体を知らない議員も少なくない)、今まで改善されてこなかったが、
今回の都議会の件は他山の石にするべき。
● 現職時代
県議時代、傍聴に家族や知人を連れてきて最も残念な経験は、皆決まって
「野次のひどさ」を挙げることだ。それは「野次の是非」というよりも「野
次の内容の程度の低さ」だった。自分が野次を受ける側でも、或いは横で
聞いている側でも、人を小馬鹿にしたりちゃかしたりする野次は気持ちい
いものではない。まして、初めて傍聴に来て、それらを聞いた県民は失望
するだけ。
● ワイドショー
この野次の問題は確かに大事な問題だと思うが、少しお祭りのように騒ぎ
過ぎのような印象を私は持った。確かに男性都議の発言は許されるもので
はないが、一地方議会における議員の発言に対する謝罪をあれほど多くの
マスメディアのカメラの前で「さらし者的」に行う必要があったのだろう
か。百歩譲ってそれが重要だとしても、その一方でこの問題の大切な本質
が解決を見ないまま葬り去られようとしていることの方が問題だ。この問
題を契機に全国の地方議会に蔓延するこのような膿(セクハラ・パワハラの
類)を出し切るようにすべき。このままでは、佐村河内守氏、渡辺喜美氏、
小保方晴子氏の問題が単なる個人バッシングで終わってしまったのと同じ
道だ。最近の日本人はストレスが溜まっているのか、このような徹底的な
個人バッシングが非常に受けるようだ。単なる個人攻撃だけでは、何の問
題も解決しない。
2. 岐阜県の最年少市長逮捕
● 逮捕≠有罪
大学で法律を専攻する際、徹底的に体に叩き込まれる概念が「無罪の推定」
或いは「疑わしきは被告人の利益に」だ。これは憲法第31条に基づく。従
って、法律を専攻した者にとってみれば「逮捕≠有罪」となる。しかし、日
本のマスメディアの報道は「逮捕=有罪」と視聴者が誤認するような形でな
されることが大半だ。このことは人を社会的に抹殺するには十分であり、あ
る種の社会的テロと言っても過言ではない。特に政治家は人気あって成り立
つものだから、致命的だ(無罪となりしも、政治家として死す)。集団的自衛
権の関係で憲法について論じることが多い昨今のマスメディアだが、憲法は
9条だけではない。第4の権力者という意識を持って、日本国憲法の人権意
識に則った報道姿勢を示すべきでは。特に今回の件では本人が否認している
のだから、そのことについても同程度の時間や紙面を割いて報道すべき。
● 若いからダメ
ニュースバリューを上げる為に、「『最年少市長』逮捕」という見出しを掲
げるマスメディアが大半だった。こういう時に決まって出るのが「若いから
ダメなんだよ」という論調。もちろん若さ故の未熟さや経験不足があるこ
とも否定しないが、それでも問題なく自治体を運営している市長は神奈川
県内だけ見ても少なくない。また、統計的に見れば問題を起こしている政
治家の大半は壮年以上。この件が全国で頑張っている若手の政治家の足か
せにならないことを祈る。
※ちなみに、私は当該市長とは面識は一切ありません。
3.兵庫県議会議員の号泣記者会見
●どのような世界にもおかしな人はいる
兵庫県議会議員の号泣記者会見が、国内のみならず世界に発信された。
有権者の全てが真剣に人や政策をみて投票行為を行っていない以上、あの
ような人が議会に入る余地は多分にある。私自身も人間として「?」がつ
く議員にお会いすることも時々ある。
ニュースバリューが高いため、世界配信までいってしまったが、次の西宮
の有権者が評価すること。
どの世界にも一定数いるおかしな人をとりあげて、その世界の一般的な問
題のように取り上げることだけは避けるべき。
以上