脱・テレビ的発想で、ネット動画「日本一」〜いばキラTV
茨城県庁を訪問し、「いばキラTV」と「議会改革」について調査を行いました。いばキラTVについては茨城県知事公室広報広聴課広報戦略室長他から、議会改革については政務調査課長他からお話をお伺いしました。
1.いばキラTVについて
①47都道府県で最も発信力のある自治体のインターネット動画サイト
「いばキラTV」は、茨城県が展開する動画サイトです。重要な点は、コンテンツ数、Youtubeでの再生回数及びチャンネル登録者数で47都道府県で最も高い数値を得ています。つまり、「日本一見られている自治体の動画サイト」とうたっています。登録者数は24,814名(平成28年7月30日現在)です。
神奈川県でも「かなチャンTV」を実施していますが、2,970名です。開始年次とかけた予算が異なるので単純比較はできませんが、人口が神奈川県の3分の1である茨城県の登録者数の多さが際立っています。
今回はこの理由を調査しに行きました。
②唯一民放の地元放送局がない県
茨城県は、諸般の理由から、47都道府県で唯一地元のテレビ局(神奈川県でいう、神奈川テレビ)がない県だそうです。設置要望はあったようですが、気づいたら時代は21世紀、インターネットの時代になっていました。
2012年、茨城県はテレビ局を飛び越えて、インターネットテレビに進出することになりました。あたかも、固定電話が普及していなかった地域に携帯電話が設置されるようなイメージかもしれません。
当初はUstreamも用いていたようですが、現在ではYoutubeを主体にインターネット動画を配信しています。
③登録者数が増加した秘訣
復興予算を潤沢に使えたという理由を除くと、いばキラTVの登録者数が増えた理由は、圧倒的な動画コンテンツの量と質といるかもしれません。県立高校の試験速報を動画で流すですとか(PDFで配信するのではなく)、弓道の映像を流すですとか、ニッチな分野も含めて動画の配信数を増やしてきました。
平成28年度茨城県立高校一般入試標準解答[数学] https://youtu.be/EYNYnelJ8c8 約1万アクセス
弓道の映像 https://youtu.be/NsUB79EF738 約5万アクセス
また、吉本の芸人による茨城PR動画や人気のYoutuberヒカキンを用いた動画など様々な趣向も凝らしています。
「のびしろ日本一。いばらき県」PR動画 https://youtu.be/yRApJIMpq6M 約50万アクセス
納豆100人に配ってみた!in茨城 水戸 https://youtu.be/lnUVo33xPbM 約94万アクセス
④脱・テレビ的発想
2015年には、インテルからインターネットの戦略に詳しい取出新吾氏を広報監として登用しました。
行政職員にはない発想をどんどん提案し、県の全体の広報戦略とシナジー効果を起こしながら、インターネット動画戦略を牽引しています。県立高校入試解答速報や弓道のネタも彼の発想だそうです。
重要な点は「脱・テレビ的発想」。つまり、同じ動画でも家でゆっくり見るテレビとスマートフォンなどで見られることが多いインターネット動画は、視聴者も視聴方法も異なるということです。
今後は復興予算も期待できず、予算的には厳しくなるとのことでしたが、この発想は大切です。
⑤神奈川県への応用
神奈川県は知事がメディア出身のため、広報戦略については先進的と思われがちですが、数値的な結果を比較するとまだまだ改善の余地があると考えられます。
テレビのようなオールドメディアの発想から脱却し、本県の資源を有効活用し発信していくために、茨城県の取り組みは大変参考になりますし、いばキラTVの3冠王の一角を崩していくことも可能であると考えます。
2.議会改革について
茨城県議会を2009年に議会改革のテーマで訪れました。今回は7年ぶりです。
①県動画サイトとの協働
まず、参考になったのが県の動画サイト「いばキラTV」にチャンネルを有していることです。県独自の動画配信を行っていますが、この動画コンテンツを県のサイトでも発信しています。
Youtubeという普及しているメディアを媒介とすることで、より多くの人たちに視聴してもらえる可能性があります。また、議員自身もこれらの動画をシェアしやすくなります。
なお、県議会の県内視察の様子も動画で流しています。予算の関係もあるでしょうが、議員の取り組みを知って頂く取り組みとしては興味深いです。
茨城県議会文教警察委員会県内調査 https://youtu.be/9xbZ55w5mUg
②特別委員会の調査結果
茨城県議会では、神奈川県議会とは違い特別委員会を必要に応じて開催して審議を行い、その審議の結果を冊子にまとめています。例えば、私が拝見した「地方創生に関する調査特別委員会調査結果報告書」(平成27年12月)は80ページにのぼる読み応えのあるものでした。
以前から提案していますが、常任委員会化の傾向が見られる本県の特別委員会のあり方は見直すべきであると考えます。
千里の道も一歩から