菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

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神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

市を作る2

前回の続きです。

 前回、アメリカでは市は作られるもの(法人化するもの)である旨を説明しました。実際、アメリカでは市の数が年々増えています。例えば、カリフォルニア州における自治体の設立についての規定は、州憲法(CALIFORNIA CONSTITUTION)の第11条(LOCAL GOVERNMENT)に詳述されています。

【参考】

CALIFORNIA CONSTITUTION ARTICLE 11 LOCAL GOVERNMENT

http://www.leginfo.ca.gov/.const/.article_11

 自治体を設立するためには、住民投票において過半数を超えることが要求されます。また、その住民投票が有効な投票とみなされるためにも基準があります。例えば、先述のロウランドハイツ(Rowland Heights)の場合は、市の設立を請願するものが約51000人の人口に対してその10%程度にあたる署名を集める必要があり、また住民投票の成立要件については25%の有権者が投票をすることが必要とされます。報道にあった、1月の市設立に向けた取組においては、署名数が169人足りずに、住民投票を行うことができず、再び署名集めの活動を市設立推進派は行っています。

 一度、自治体の設立が承認されると、自治体は憲章(charter)を制定することができます。この憲章は住民投票において過半数をえることで採用され、州の国務長官に申請することで効力を発揮します(州憲法第11条第3項a)。住民投票で制定された憲章の意義は非常に重く、その改廃などについても制定と同程度の手続きを求められます。

 憲章の内容は、市の名前から組織の構成まで多岐に渡り詳述される傾向があります。例えば、ビーチリゾート都市として有名なサンタモニカ(City of Santa Monica)の憲章の中では、市の名前、政府と議会の形体、役所の組織の形式、選挙の施行についてなど自治体の運営の根幹に関わる部分が多く規定されています。

【参考】

THE CHARTER OF THE CITY OF SANTA MONICA

http://www.qcode.us/codes/santamonica/index.php

 以上、憲章の制定過程や内容から判明することは、憲章の制定は「市が何をすべきか」ということについて市民が市に対して信託をすることに他ならないということです。もちろん、市によって市民が信託をする内容は異なります。アメリカの基礎自治体における多様性は、自治体が住民によって自治をされている、つまり「住民自治」の結果であるという見方もできます。

次回は、「住民自治」について少し考えてみます。