沖縄県議会~立法府としての尊厳
第1節 調査概要
【日 程】2月2日(月)・4日(水)
【テ ー マ】議会運営について
【目 的】
神奈川県議会における議会改革及び神奈川県における地方分権の議論の検討材料を得るため
【対象施策】
1. 議会改革等の取組み(神奈川県議会)
【内 容】
沖縄県議会を訪れ、沖縄県議会事務局議事課長より、議会運営についての説明を受ける。意見交換の後、議会施設の視察を行う。後日、沖縄県議会図書室において文献での調査を行った。
写真 1:沖縄県議会の本会議場(2009年2月)
第2節 立法院時代~立法するということの意味
① 終戦後の沖縄の統治制度
沖縄県は、第二次世界大戦終戦の1945年から1972年まで米軍の占領下におかれていた。戦後間もなくは、議会制度の定まらない時期を経験し、1952年に琉球政府の設立に伴って立法院が設置された。米国大統領及び高等弁務官の大きな制約の下にあったが、沖縄は、琉球政府・立法院・琉球民裁判所という三権分立を厳格に確立したアメリカ型の統治機構として構成された 。
三権分立が厳格に確立されているため、琉球政府 (行政府)の長である行政主席(1968年より公選)には法案の提出権はなく、議案の拒否権を持つのみである。また、立法院 (一院制で、立法院議員は公選)は日本の都道府県議会と違い「立法府」であり、法律や予算を提出することは立法院の権限である。さらに、司法府としては琉球民裁判所も設置されている。これらの形式は、アメリカ政府や州政府等に見られるものである。
② 議場の形式
沖縄県議会(写真1)と立法院 (写真2)の本会議場の形式を比較してみたい。明らかに異なる点が2つある。1点目は議席の位置である。県議会が行政側と対峙しているのに対し、立法院は議席がU字型になっている。2点目は理事者席(行政幹部職員の席)の有無である。県議会は知事並びに理事者席が設けられているのに対し、立法院は主席並びに理事者が常に座するための席は存在しない。
写真 2:立法院の議場
(沖縄公文書館『琉球政府関係写真資料 157』<http://www.archives.pref.okinawa.jp/>、1959年11月28日)
立法府である立法院では、立法をすることが主な役割であり、一般質問や代表質問のように理事者に質問をすることほとんどない。必要な時に呼び出して意見を聴く形をとるので、主席や理事者が常に議場にいる必要もない。よって、写真2のような議場の形式をとっている。