菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

神奈川産業技術センター調査

調査報告書はこちらです。

第1節 調査概要

 神奈川県産業技術センターを訪れ、所長他よりセンターの概要について説明を受けた後、施設内を視察した。最後に、質問及び意見交換を行った。

 以下、調査において得た知見の内、特筆すべきものについて報告する。

第2節 産業技術センターの概要と印象

産業技術センターの目的と概要

 産業技術センターの設置目的は、「県内の産業、特に中小企業の振興に寄与する」ことである。ものづくり支援、研究開発、人材育成、技術情報・交流・連携の4つを事業運営の主要な柱にしている。今回は、特に研究開発の現場を視察した。

印象

 センターは、約30,000㎡の広大な敷地に、延床面積32,263㎡の巨大な施設を有する。5階建ての実験棟には、民間企業も含めて多くの研究室があり、日々様々な研究がなされている。率直に、大きな研究施設であるという印象である。

 また、各研究施設についてであるが、私自身が専門的な知識を持ち合わせていないため、研究内容の適正などについては評価をしかねる。しかし、燃料電池など比較的重要ではないかと感じられる実験がいくつか見られた。

第3節 課題

運営上の課題

 視察後の意見交換の中で、いくつかの課題点が浮き上がった。主なものは、①運営方法、②センターの認知度、③人材と予算である。

①運営方法

 戦前から戦後にかけては、県が中小企業の技術支援について全面的に面倒をみることは、時代の要請であったと考えられる。センター側からは、経営改善に対して努力をしているため、独立行政法人等への運営形態の変更の必要性はないとのことであった。しかし、今後は必ずしも県営として運営されていく必要があるとも言い切れない。

 東京都、岩手県鳥取県等では、同様の研究施設が地方独立行政法人への移行を果たしている。検討には値するのではないだろうか。また、極端な考えかもしれないが、研究自体を県で抱えるのではなく、既存の研究機関への援助等を行い、それらを中小企業とマッチングさせることでも、同センターの目的とする使命は果たせるのではないだろうか。

 素人的な考えであるかもしれないが、センターの設立目的を達成する為には、様々な代替手段があるように思われた。

②センターの認知度

 井手議員より、同センターの認知度についての指摘があった。同センターの存在を認識していない中小企業が、本来利用でするべき活用を行っていないのではないかという指摘である。

同センターに限らず、県有機関に共通することであるが、知っているもののみが県の恩恵に与れるということは多々ある。すると、積極的に広報に取り組むべきであるという話に進みやすい。但し、安易に広報の拡充とすべきでないと考える。

平成13年の少し古い機関評価の結果であるが、「少し厳しい言い方になるが、地元中小企業にとって、産総研の存在がどれだけ大きなもの、必要不可欠な存在に思われているか、である。逆説的に言えば、仮になくなったとき、地元企業はどれほど困るのか、他に相談事を持ち込むところはあるのか、ないのか、だ。 」(鴇田委員)と指摘されている。

民間及びその他の公的な研究機関や専門的な研究内容の重要性を把握しているわけではないので、多少の誤解があるかもしれないが、①で触れた運営形態の在り方も含めて、センターの役割の再整理の余地はまだあるのではないかと私には感じられた(もちろん所長以下の熱心な取り組みも感じられたが)。

③人材と予算

 研究員や所長から、センターの課題として一番に挙げられていたのが、人材と予算である。研究機関であれば必ずぶつかる問題でもある。しかし、これらの課題も、根本的に今後同センターをどのように方向付けていくのかということと無関係ではない。

 「公設試験研究機所の職員が、そもそも県民のためのサービス機関であることを忘れている 」という厳しい一般論が提示されているが、人材と予算の不足が、県民ニーズからくるものなのか、或いはセンターのニーズからくるものなのか、この点を精査した上での必要性なのかは今回の調査では確認することはできなかった。

第4節 まとめ

 調査を通じて、所長はじめ研究員の熱意は大いに伝わってきた。これらの熱意と県内事業者のニーズがうまくマッチングすることが肝要である。また、組織の運営形態については、他県の事例なども参考にしながら検討する価値はある。