GLAという不思議な組織
写真:GLAの議場は、螺旋階段の下にある。
GLA(Greater London Authority)とNLGN(New Local Government Network)及びニューハム区(London Borough of
Newham)を調査しました。
特に、GLA(大ロンドン市)は今回の調査における目玉の1つです。
ロンドンにはかつてGLC(Greater London Council、大ロンドン市)というものが存在しましたが、1986年に国(保守党)によって廃止されました。
しかし、2000年に国(労働党)はGLAという形で大ロンドン全域を包括する広域行政府を復活させました。
この間の14年間も、日本の基礎自治体に相当する32のロンドン特別区は存在しました。
単純比較はできないですが、誤解を恐れずに表現すれば、14年間東京23君おいて東京都に当たる部分がなかったといえばイメージがしやすいかもしれません。
GLAは、イギリスで初めて公選の市長と議会からなる議会を要していますが、日本の二元代表制とは大きく異なります。また、行使できる権限も住宅、都市計画、廃棄物処理、交通などいくつかに限られています。
国主導によって、自治体を改廃創設していく過程はイギリスならではですが、この過程に日本が根本的な地方行政組織の改廃を行う際のヒントが隠されていました。
詳細は、調査報告書に譲りますが、良くも悪くも参考になる事例でした。
NLGNは、市長制の導入促進を1つの大きな政策的支柱とする独立系のシンクタンクです。
日本と違い、元々イギリスの自治体は基本的に議院内閣制で、議員の中から行政のリーダーを選ぶ形をとっていました。市長がいても儀礼的な名誉職という扱いです。
しかし、2000年の地方自治法の改正により、市長制を含む4つの制度から議会制度を選択できるようになりました。しかし、市長制への移行は思うように進まず、現在でも十数の自治体が導入しているのみです。
現在、日本では地方議会における議院内閣制の導入が検討されていますが、これと逆の流れを求めるNLGN側の説明は大変勉強になりました。
最後のニューハム区は、GLAの下に存在する32の区の1つです。正式なアポイントを出国前にとることができなかったので、直接伺い庁内の見学などを行いました。