黒字至上主義の誤解~政調会主催県内調査in県西部
写真:生命の星・地球博物館
県議団政調会主催の県内調査を行いました。1泊2日で神奈川県西部の県有施設を調査しました。
秦野高等職業技術校、恩賜箱根公園、生命の星・地球博物館及び温泉地学研究所を調査しました。
私は全ての調査先を過去に何度か視察したことがありますが、新人議員は全て初めてです。様々な知見を得ることができたのではないかと思います。
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今回の調査先で特筆すべきは、生命の星・地球博物館です。この博物館は大変素晴らしい博物館なのですが、収支は約1億3千万円の赤字です(収入:6,637万円/支出:19,866万円)。
このような場合、得てして収支の黒字化の問題が指摘されます。確かに、どのような施設であっても単独で収支が黒字になることが望ましいのですが、博物館のような教育施設は必ずしも黒字になりません。
もちろん、博物館でも毎年予算のシーリングがかかるため、歳出は強制的に削減されています。しかし、これは大きな問題であると考えます。事務的経費等は歳出削減に馴染むのですが、このようなシーリングで削減されるのは必ずしも事務的経費に限られるわけではなく、博物館の本来的機能である調査研究機能にも影響を及ぼし、博物館としての質を下げてしまう可能性もあるからです。
館長の「博物館を営利施設と捉えるかどうか」という言葉は大変重要な問いかけであると受け取りました。博物館はお客さんを呼んで収支を黒にするための営利施設ではなく、人類の知を集約し、それを次世代に対して引き継いでいく重要な役割を担っているのです。
つまるところ、そのような博物館の社会的意義に対して1億円超の県民負担を900万人で行うことが是か非かという点で考えるべきですし、そう考えると少なくとも同博物館のクオリティや調査研究の活動を勘案すると、私はあまり高い出費であるとは考えません。
また、私は展示物に外国語表記がないことが毎回気になります。同博物館周辺は外国人観光客の通過経路にあり、同博物館の良さを世界の人々に知ってもらう良い機会であると考えるからです。博物館側に問うてみると、予算要求はしているものの、厳しい状況にあるとのことでした。おおよそ2,000万円が必要とのことです。
単年度で考えると高く感じますが、数年ベースで考えればそれ程高い出費であるとは考えません。ただ、より低い費用で効果的にできる方法も検討できるかもしれません。外国語表記は是非導入されたいものです。
最後になりますが、同施設は横浜の中心部にあれば必ず黒字になるような非常に興味深い施設です。立地はあまりよくありませんが、是非、訪れてみて下さい。
写真:秦野高等職業技術校の視察風景
写真:芦ノ湖から見える富士山