菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

人材の空洞化と国際化

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●人材の空洞化の恐れ

現在の日本の最も憂う問題点の一つは人材の空洞化であると考えます。日本の優秀な人材が海外に行ったというニュースをよく耳にするようになりました。優秀な学者やビジネスマンが日本に愛想を尽かして去って行くという印象を受けます。

ここで言う「優秀な人材」とは、その能力や行動によって社会を良い方向に革新(innovation)していける人材を指します。このような優秀な人材は、既存の体制に属さない分野に多く見られます。

また、「海外に行く」というのは一時的な移住ではなく、永続的な定住を意味します。最近、日本にゆかりのある方でノーベル賞をとる人の中にも海外定住者が増えてきましたが、これもその表れであると捉えています。

よく地域や国を変えると言うと、政治家や公務員になることが想定されますが、実は民間の分野でこそ変えられることが多いというのが私の実感です。そして、その民間の分野において日本の現状や将来に対して危機感を持ち、熱心に取り組んでいる方々も少なくありません。

しかし、残念なことにそんな彼らの熱意を打ち砕く大きな障壁が日本にはあります。既得権の維持に走る巨大な官僚機構とそれを民意に基づいて統治できない政治家集団です。また、昔は挑戦者で先鋭的であったけれども、成功を成し遂げ既得権側に立つ産業界も、豊富な資金力を背景に政治家集団を誤った方向に向かわせています。

既得権にがんじがらめになり、自己保身を最優先事項とするこれらの集団には、日本の将来などは二の次であり、少なくとも自分達が存命である期間だけは、なんとか既得権によって甘い汁を吸っていられればよいと、「本能的に」行動させているのでしょう。

そして、「本当に」日本の将来を案じ、その能力を有する者達は、自分達のできる限りの挑戦をした後に、日本を去って行く苦渋の決断をするのだと思います。

●政治家の責任

この既得権にしがみつく集団の中で、最も責任が重いと考えるのは政治家集団です。彼らがしっかりと機能すれば、社会の革新は始まり、新しい日本の未来は開けるからです。そして、それが民主主義の醍醐味です。

しかし、彼らは民衆の方を向いていません。自分達で考えることを放棄し、政務のほとんどを官僚機構に委ね、既得権を有する支持母体ばかりを気にして、本当の意味での民衆の方を見ようとはしません。

なぜ、橋下徹氏が支持されるのか、答えは明快です。しかし、劣化した政治家集団はその答えを理解できず、自分達の選挙にどうやったら望ましいかばかりを考えています。

3月11日の大震災が、政治家の意識を変える最良の機会と捉えた人々もいましたが、このような歴史的な国難を前にしても政治家集団は自分達のつまらないちっぽけな既得権・面子を優先させました。

多くの国民は既に気づいているはずです。このような政治家集団に国を任せてはいられないと。しかし、そうこうしている間にも、日本の優秀な人間は残念なことに海外に去っているのです。彼らは、日本ではなく諸外国の頭脳になり、その国に対して大きな貢献をすることでしょう。

●人材の国際化

比較的海外に行くことが多いのですが、その度に日本人の内向性が気になります。本当の意味での国際人が少ないような印象を受けます。海外を特別なものとして捉えず、言葉の壁をものともせずコミュニケーションをとろうとし、客観的な視点で日本を相対視できる人材が非常に少ないと感じます。

最近、日本の様々な分野で「ガラパゴス化」が叫ばれていますが、まさに国際的な人材が少ない結果であるとも捉えられます。常に海外の情報にアンテナを張っていれば、世界のトレンドがどのような方向に進んでいくかはおおよそ検討がつくからです。

TPPの交渉のテーブルにのることに反対をする理由として、「日本人は交渉が下手だから、テーブルにつくべきではない」と主張する国会議員が少なくありません。私は残念に感じました。TPPの是非は別にして、国際交渉ができないと自信を持って主張するような人間が国会議員として国家運営に関わっている事実こそが大きな問題です。

明治維新後の日本の近代化を支えたのは、海外に飛び立ち、国際情勢に目を光らせながら、日本の将来を案じた国際人達でした。日本の素晴らしい歴史・文化を守るために、時には欧米とも激しい交渉をしながら、進んでいくことは必要不可欠なことだったのです。そして、このことは今も変わりません。

私は政治の分野に関わる人間の中に、本当の意味での国際人が増えてくれば(実際には少なからずいるが中心とならない)、民間分野において社会の革新に取り組む果敢な挑戦も理解できるようになると考えます。そうすれば、その意義を理解した上での規制緩和や施策展開を行っていくことで、民間分野の優秀な人材が活きてくると考えます。

残された時間は多くありません、国際感覚に優れた人材を国家運営の中心に据え、素早い意志決定で、人材の流出を引き留め、日本のためにその能力を生かすべきです。