菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

介護・福祉を考える①〜大介護時代

介護・福祉を考える①(直敏ヘラルド128号より)

大介護時代

●世界で唯一「超高齢社会」を迎える日本〜4人に1人が高齢者

街を歩いているとデイサービスの事業所や老人ホームが日々増えていることを実感します。また、公園では元気な高齢者の方々がグラウンドゴルフ等を楽しむ姿もすっかり日常的です。

統計的には何十年も前から予測されていたことですが、日本の高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は、1970年に7%(高齢化社会)、1995年に14.5%(高齢社会)を越え、2007年には21.5%に達し(2010年現在では23%)、世界で唯一の「超高齢社会」の国になりました。大げさな表現を用いれば、日本は人類誕生以来どのような国や地域も経験したことがない未知の領域に足を踏み込んでいます。さらに、厚労省の統計によると2035年には高齢化率は33%に達し、3人に1人が高齢者になると推計されています。

 日本が世界で最も長寿の国であるという事実は、私達が胸を張って誇れることであると思います。なぜなら、日本が安全かつ衛生的で経済的にも成功した国である証しだからです。しかし、年齢構成のバランスを欠いた「超高齢社会」の到来は1つの大きな課題を日本の社会にもたらしました。

 それが「介護」です。

●理想と現実の狭間で

 「介護」というと皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?

 身近なご家族を介護されている方々や介護関連職に従事されている方々であれば、現場に根ざした様々な現実をご存知でしょうが、そうでない方々はなんとなく「大変そう」「きつそう」といったメディアなどから流れてくる漠然とした(誤解を恐れずに言えば「他人事のような」)イメージしかないかもしれません。しかし、高齢化が急速な勢いで進行する日本においては、そう遠くない未来に国民の大半がなんらかの形で介護と向き合わざるを得ない時代が必ず来ます(本当は既に来ているかもしれません)。つまり、漠然としたイメージを現実として捉えなおさなければならない時は、介護と無関係と思っていた人にもそのうちやってくる可能性が高いのです。例えば、ご自分や両親・親戚の20年後をイメージして頂ければ、想像に難くないでしょう。

 介護の現場は多くの問題を抱えています。在宅介護の限界、介護保健施設の入所待ち期間の長期化、厚労省の予測を上回る勢いで増加する認知症高齢者数、介護人材の不足、国の財政などその内容は私達の生活現場から国家の財政まで多岐に渡ります。これに対して、政治・行政は「介護予防の推進」「施設から在宅介護へ」など理想的な計画の旗を振り、現場はその理想を横目に現実と向き合う狭間の状態が続いています。

●世界で最先端の政策課題に挑戦している日本人

 今、世界中の国々が日本の今後に注目しています。「介護」を中心とする高齢社会にかかる課題を如何に乗り越えていくのか固唾をのんで見ているのです。

もちろん、「明日は我が身」だからです。また、日本人自身も試されています。近代化以降、様々な政策課題を主に欧米のモデルを参考とすることで乗り越えてきました。しかし、今回はモデルがありません。

 今後数回のヘラルドでは、私自身の調査・研究や介護現場での就労体験も踏まえ、皆さんと一緒に「介護・福祉」について考えていきたいと思います。

 メール( naoxinfo@nao.tv )や葉書などで皆さんの現場体験やご意見などもお寄せ頂けたら幸いです。