ヘルスケア・ニューフロンティア政策調査特別委員会 県外調査1日目〜東北大学 東北メディカルバンク機構
特別委員会の調査で、東北大学敷地内にある東北メディカルバンク機構を視察しました。
ゲノムコホート調査による個別化医療・予防の取り組みを特に調査しました。宮城県及び岩手県では、県民に協力を呼びかけ、7万人規模のコホート(共通の因子を持った個人の集団)を行っています。
日本というよりも世界で最先端の研究ですので、説明された中身には難解なものもありました。しかし、いくつかの近未来のイメージのご説明を受けることで、具体的な私なりのイメージを持つことができました。
特に介護の分野では、この基礎研究により、曖昧だった認知症に対して遺伝学的なエヴィデンスを積み重ね、認知症の予防などに活用出来るようになるかもしれないとのことです。
また、一昔前は世界各地の研究者が束になって解析しても10年かかった人一人ゲノムが、現在では2日間でしかも大量に解析できるようになったことにも驚きですし、それが手のひらに収まるチップに集積されてしまうことにはさらに驚かされました。
今後はゲノムにかかる情報が個人情報なのかといった法整備も含めて行政の対応が求められる分野です。まさに本県のヘルスケア・ニューフロンティアとはこのような基礎研究を産業化していくことであるとの感想を持ちました。
施設見学では初めてスーパーコンピューターを間近で見ました。施設内は比較的オープンで、スーパーコンピューター室では写真撮影やサインを職員に促され、委員全員でサインをしてきました(写真は長友よしひろ議員と)。
研究とは関係ないですが、私は同機構のPR戦術の巧みさにも目がいきました。先ほどのスパコン室のサインの件もそうですが、調査中も同機構のカメラマンが熱心に視察の様子をカメラに納めていました。TOMMOという洗練された広報紙も作成しており、この中で、研究の状況をわかりやすく説明するだけでなく、訪問した方々なども紹介されています。研究を認めてもらうためには、認めてもらうための努力も惜しまないという姿勢が個人的には素晴らしいと思いました。
なお、本県の未病の取り組みについて同機構の専門家たちのご意見は、「その方向性は素晴らしい」としながらも「エヴィデンスに基づかない民間療法の類の認識」といった旨のやり取りが質疑でなされました。本県が未病を真剣に進めていくのであれば、科学的根拠に基づいたエヴィデンスの積み重ねは重要であると感じました。
千里の道も一歩から