【県外調査】行政改革と議会改革
県議会の有志の議員で3日間の視察を行いました。今回は3日目です。宮城県庁を視察しました。
視察の情報のさらなる詳細については、ホームページにてpdfファイルで公開をしています。こちらをご覧ください。
【概要】
行政改革及について、総務部行政経営推進課副参事兼課長補佐より、また議会立法などについて、議会事務局政務調査課課長より、説明を受けました。また、説明終了後宮城県議会議場を見学しました。
【神奈川県の現状】
神奈川県では、過去に財政再建団体に転落する直前まで財政が逼迫した時期がありました。その為、行政改革による円滑な行政運営及びコスト意識の醸成は県政の喫緊の課題でもあります。
神奈川県同様、支店経済である宮城県においても近年財政危機の様相を呈しており、行政改革に関する様々な取り組みを行い、一定の成果を挙げています。そこで、宮城県の行政改革の基本指針でもある「宮城県行政改革プログラム」の内容について視察を行いました。
【視察先の現状】
宮城県では、平成18~21年度見込みで、約2260億円の財源不足が見込まれています。このままでは準用財政再建団体への転落をすることは免れることが避けられない現状があります。そこで、総合的・全般的であったこれまでの県政の質の転換を図り、「選択・集中型」の県政運営と変える方針を本プラグラムにて打ち出しました。
改革の目標としては、
① 自己決定・自己責任による行・財政運営の確立
② 真の地方主権方社会の実現
③ 深刻な財政危機の克服
以上3つを掲げています。また、過去に策定実施された同様のプログラムにおける課題点なども検証していることは、PDCAサイクルの視点からも重要です。検証よりあげられた課題点には、改革項目が多すぎたことや、具体的な目標を設定していなかったことなどが挙げられていました。
また、選択・集中型の事業展開への転換を目指すに当たり、職員による事業の見直しが「事業仕分け」のような形式で行われています。今後はこれらの結果が待たれます。
【課題克服の可能性】
神奈川県においては、行政改革システム基本指針の中で「変化に対応した質の高い県政の展開」を目標に掲げ、
① 多様な公的サービスの担い手との協働と連携
② 多様な課題に対応できるスリムで効率的な体制の確立
③ 県民の視点に立った行政サービスの提供
以上の3つを基本方針としています。今後は宮城県同様財政的な視点及び分権社会を目指した視点もより強く打ち出していく必要もあると考えます。
■テーマ:議員立法等について
【神奈川県議会の現状】
神奈川県議会では議会改革検討会議を設置し、議会改革について様々な検討を行っています。特に議員の政策能力強化は現議長も強く訴えており、また政務調査費の公開が県民より望まれています。
宮城県議会では、平成10年より17件の政策条例を議員立法で策定しており、また政務調査費も平成16年度から領収書添付による全面公開になっています。
【視察先の現状】
●議員立法
宮城県議会において議員立法が策定されるようになった背景には、政治的な要素がありました。平成9年の統一地方選挙に当選し当時最大会派であった自民党の若手議員を中心として、改革志向の議員が分離し新会派を結成したのがそもそものきっかけだそうです。当時の知事が議会の立法に寛容であった部分もあり、様々な立法が行われるようになりました。
議会による立法は、行政立法と違い平易な文体を心がけて作られています。ただ課題としては制定された条例のほとんどが、理念あるいは宣言的な条例にとどまっているということです。
●政務調査費の公開
次に政務調査費に関してですが、宮城県議会では基本的には領収書を添付して公開をする形式をとっています。但し、旅費に関してだけ簡便計算方法という距離ごとに規定の額が支給される方式をとっており、この点に関していくつかの訴訟を抱えています。
【課題克服の可能性】
議員立法に関しては、議員各々のやる気に寄る部分がほとんどであると感じました。議員というのはとかく相手の足を引っ張る習性をもっていますが、有権者の為になすべきことがあるのであれば、会派・党派を超えて条例提案をしてく必要もあります。
政務調査費に関しては、公開をするのであれば宮城県議会の簡便計算方法のように例外規定を設けないことが重要だと考えます。
【その他】
●対面方式の質疑
説明の終了後、宮城県議会の議場を見学しました。本会議場における対面式質疑に関して、宮城県では簡易な台座を演壇の反対側に設置することで対応をしています。予算もかけずに安価に対応できるという点で参考になると思います。
【参考文献】
・ 宮城県ホームページ(http://www.pref.miyagi.jp/index.htm)