フードバンクとは??〜代表質問解説③
9月14日に行われた菅原直敏の代表質問の解説です。今回は2項目目の「福祉について」の中の、「フードバンクについて」解説します。
この質問のポイントは、近年各地で始まっているフードバンクについて県がどのように捉えて、関わっていこうと考えているのかを明らかにすることです。
今まで、フードバンクにかかる質疑がほとんど県議会でなかったためです。
翌日の神奈川新聞でも、質疑の内容が取り上げられました。
1.フードバンクとは
フードバンクとは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を個人や企業から引き取り、生活困窮者や福祉施設等に配給する活動です。米国で1970年前後に始まり、日本では2002年にNPO団体が始めました。
この活動は生活困窮者支援と食料廃棄の両方の問題への「対策」としては、当座有効であると考えました。
なお、私は、県議会で平成20年に「食品廃棄物の発生抑制に向けた国民意識の醸成を求める意見書」を提案し、可決させるなど、食品廃棄の問題にも取り組んできました。
2.必要なことは行政の理解
私はフードバンクの活動を行政が主体となってやる必要はないと思います。このような制度の狭間の活動は、NPO法人のような民間団体の活動に馴染むし、結果的に効率的・効果的になると考えるからです。
ただ、可能な範囲で後押しをしていくことが大切だと考えました。例えば、団体からの要請があれば、食料を県民から集めるバスケットを県有施設に設置させることや業界団体にフードバンクの活動を周知することです。
3.質疑の結果〜大きな進展
知事答弁において、「生活困窮者を支援する民間団体同士のネットワークの構築に資するプラットホームづくりを進めること」と「食品関連の企業に対し、廃棄物の発生抑制などに関する説明会において、フードバンク活動についても情報提供や活動支援の呼びかけ」を約束し、「生活困窮者の自立支援や食品ロスの削減といった課題の解決」への方向性が示されました。
これは大きな前進です。
4.質問の要旨
【菅原質疑】
2 福祉について
(4) フードバンクについて
先日県央地域でフードバンク活動を行っているNPO法人ワンエイドの取組を調査した。理事長の話を伺い、フードバンクの取組は生活困窮者支援と食糧廃棄の問題について、一定の成果があるとわかった。
生活困窮者支援と食糧廃棄物の削減という福祉・環境の両政策の観点からフードバンクによる県民運動を県として後押ししていく必要があると考える。
そこで、県内のフードバンクの活動をどの程度把握しているのか、またこれらの活動を県として後押ししていくべきと考えるが、所見を伺いたい。
【知事答弁】
次に、フードバンクについてです。
「フードバンク活動」は、品質に問題がないにもかかわらず廃棄されてしまう食品を、企業などから譲り受け、生活に困窮している方々につなげる、民間が主体の取組みであり、いわゆる食品ロスの削減にも意味があると認識しています。
生活困窮者対策として、昨年4月に困窮者の総合相談窓口を開設した県内20の自治体のうち、14の自治体が、フードバンクの活動を行う民間団体とつながりを持って生活困窮者支援に取り組んでいます。
多様な課題を抱える生活困窮者をきめ細かく支援するためには、フードバンクなどの様々な活動を行う民間団体との連携をさらに進めることが重要です。
今後、生活困窮者を支援する民間団体同士のネットワークの構築に資するプラットホームづくりを進めることで、民間におけるフードバンクなどの自主的な活動を後押ししていきます。
また、食品ロスを削減するために、パッケージが潰れるなど販売に適さなくなった食品の活用先の一つとして、フードバンク活動があることについて、食品関連の企業の理解は、まだ十分に広がっているとは言えません。
そこで、県は、食品関連の企業に対し、廃棄物の発生抑制などに関する説明会において、フードバンク活動についても情報提供や活動支援の呼びかけを行っていきます。
今後も、フードバンク活動をはじめとした民間団体と連携して、生活困窮者の自立支援や食品ロスの削減といった課題の解決に努めていまいります。
5.質問動画
2016年9月14日代表質問その3(菅原直敏県議質問×黒岩知事答弁)