菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

文化芸術の情報発信のあり方〜マイイアム現代美術館

 マイイアム現代美術館を訪れ、学芸員の説明の下、美術館の沿革・意義の説明を受け、館内を視察しました。

 

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1.マイイアム現代美術館

 

マイイアム現代美術館は、2016年にチェンマイにオープンした、タイ王国初の私立の現代美術館です。「マイイアム(Maiiam)」の由来は、「Mai(新しい、チェンマイのマイ)」と「Iam(創立者の先祖である王女の名前)」を組み合わせたものです。

 

鏡張りの外装と倉庫をリノベーションしたスマートな内装は、チェンマイの地にぽっかり浮かんだ別空間といった感じです。展示作品も絵画、写真から工作、映像作品まで、様々です。

 

 

2.外国人へ向けた広報のあり方

 

同美術館の参考になる点として、外国人に向けた広報のあり方があります。年間入館者数は6000人程度となっていますが、その7割程度が外国人です。卵か先か鶏が先かではないですが、同美術館の情報発信は外国人に対して非常に熱心です。特にFacebookやInstagramといったSNSの用い方はうまく外国人を上手に巻き込んでいます(Twitterは休止中)。

 

例えば、同美術館のFacebookのページは、8,611人のフォロワーがおり、187名がレビューし、平均4.8星(5星が最高点)の評価を受けています(2018年3月30日時点)。情報発信は基本的に英語でなされており、多くの外国人が英語でコメントをしています。

 

また、同美術館のInstagramは1,624人のフォロワーがおり、Facebookほどではないですが、適宜コメントなどもついています。何よりも、Instagramは美術作品を発信する媒体としては相性が良いため、「いいね」数などはこちらの方が多くなっています。発信言語はこちらも英語です。

 

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Facebookではメディアで同美術館が取り上げた情報などテキスト情報を中心に発信し、Instagramでは作品の写真を中心に発信しています。また、ハッシュタグなども多用し、より多くの情報に引っかかるように取り組んでいます。こういった取り組みを地道に続けていれば、ある瞬間にバズる(短期的に大量に情報が拡散されること)こともあります。

 

一方で、神奈川県の近代美術館では、Twitterを運用していますが(フォロワーは同日付で2,112人)、発信言語は日本語のみであり、基本的には事務的な報告がメインです。

 

外国人観光客の集客という点であれば、どちらが効果的かということは論を待ちません。

 

SNSは開設には費用はかからず、運用次第では世界各地に対して発信をできるメディアです。県内の美術館には多くの素晴らしい展示があるわけですから、こういった広報のあり方は非常に参考になるはずです。

 

 

3.施設と運営のあり方

 

同美術館は倉庫を改修してつくられた美術館です。リノベーションされた内装は非常に近代的で、アートな雰囲気が漂っているのですが、展示ごとに内観を大胆にいじることが可能です。この自由度の高さは、現代アートという分類し切れない作品群を展示する上では良い方向に作用しているように感じられました。あまり、芸術を型にはめないという点です。

 

また、民間で柔軟な発想の基に運営されている点も大切です。神奈川県ではマグカルという意味不明な言葉もの下に、県内の芸術活動を集約しようとしていますが、本来は各美術館なり芸術活動の自発性を促す取り組みこそが重要であると、同美術館のあり方をみて感じられました。つまり、各施設や取り組みのボトムアップの結果、神奈川県全体の文化芸術が国内外も含めた人々を惹きつけるイメージです。

 

マグカルのサイトは英語版もありますが、日本語ページを英訳しただけであり、SNSなどの活用は日本語版のみです。知事は外国人観光客の集客をマグカルによって行いたい旨を強調されますが、SNSを中心に情報収拾を行って訪日する人たちが多い中で、行っている取り組みが現状とマッチしていない点も見られます。

 

一方で、神奈川県内の膨大な文化芸術活動を県が一元的に把握し、集約し、外交人向けに発信していくことは不可能です。従って、まずは県立文化施設から、現場の職員が多くの労力をかけることなく、効率的・効果的に的確な情報発信を行っていけるサポート体制を構築することが現実的なあり方であると考えます。

 

参考までに、マグカルとマイイアム美術館のフェイスブックページのリンクを以下にご紹介します。多額の予算を投じて運営されているマグカルの発信が、民間美術館に劣っていることがデータとしてわかります(マグカルFBページに至っては英語発信がないので、その点で外国人に対する効果はほぼ皆無)。

 



 

対応してくださったスタッフの皆さんに感謝です。

 

千里の道も一歩から

 

神奈川県議会議員

 

菅原直敏