菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

己の無知を知り、宿題をもらう 地方自治体・議会〜キング オヴ ガラパゴス

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ガラパゴスと表現される日本の中でも、さらにガラパゴスであるのが地方議会や自治体というのが少し自虐的なギャグであったりするのですが、今回は自分自身がガラパゴスであったと認識する経験をしました。

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LGA(Local Government Academy)という組織を訪れました。日本で言う総務省の機関ですが、地方議員や首長の資質向上を目的として設置されています。具体的には、地方議員や首長を当選後に集中的にトレーニングする事を行っています。条例の作り方や行政運営について学ぶそうです。このLGAはフィリピンの地方(日本で言う関東地方みたいなもの)ごとに存在し、国内の自治体を網羅しています。

このような体系的な組織を設置するかは別にして、公選職についた人達の当選後の体系的研修の必要性は私も痛感しており、2009年に発表した議会改革の50の提案の中でも取り上げました。

今の地方自治体の議員や首長は、その立場に必要とされる基礎的な職能を身につけずに仕事に当たっています。悪い意味での我流がまかり通っているのです。首長の場合は行政職員に一任する事で職能をごまかし、議員の場合はそもそも何が出来るのかを理解していないものが多いため、議論も少なく、行政に追随するような運営になりがちです。

もちろん、熱心な方には我流の中にも最終的には職能を身につけていく方々もいるのですが、かなり回り道をして、数年かかるのが通常です。日本の地方議員の報酬が相当高額である事も加味すると、やはりこのような遊びの時間はなるべく少なくなるような「仕組み」は不可欠であると考えます。

案内して頂いた教授に、「日本の地方議員はどうやって条例の作り方を学ぶのだ」と問われて、私が答えに窮してしまったのは言うまでもありません。

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さて、ここからが本題です。

私は常々、自治体議員や職員の国際的な交流・情報共有・意見交換のプラットフォームが必要であると考えてきました。特に近年はどの国においてもICT環境が整ったため、国外にでることがなくても情報交換を深めていく事も可能だからです。そこで、世界だと広すぎるので、アジア諸国を中心にそのようなプラットフォームが作れないものかと模索してきました。

しかし、実際はそのようなプラットフォームが既に存在したのです。

LOGOTRIといいます。

ホームページ→ http://www.logotri.net/

LOGOTRIは、アジアと太平洋諸国の自治体研修調査機関やプライベートセクターをもネットワーク化した組織です(個人としても参加が可能なようです)。1999年に国連に主導されてできた組織です。

この程度であれば、まだ想定の範囲内なのですが、私が目を引かされた点は次の2点です。

1. 豪州や英国といった先進国が加わっている事

このネットワークにはアジア諸国の大半が加わっていますが、併せて豪州と英国(準会員)が加わっています。

2. 中国が加わっている事

地方自治とは無縁と思われていた中華人民共和国が会員です。韓国ももちろん参加しています。

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前述したLGAもこのネットワークに参加しており、事務局を務めた経験を持つ方からお話をお伺いしました。相当程度踏み込んだ交流や学習会等も行われており、情報共有や個人間の交流も行われているようでした。

このような取り組みが各国の自治体に与える影響はもちろん小さくなく、自治体間の姉妹都市提携のようなステップから、実際の経済連携まで実際上の成果としても現れています。

最近では首長が自治体外交と称して海外に企業誘致のお願い等にあがりますが、実はこのような確実かつ継続的なネットワークも多いに利用できるのです。

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さて、私がなぜガラパゴスであると感じたかと言えば、地方自治を熱心に研究していながら、このネットワークの存在をまったく知らなかった為です。もちろん、私自身の調査能力が低かった事も挙げられますが、何よりも日本自体がこのネットワークに参加していない為、日本の自治体関係者や研究者の中で名前すら聞く事がないことも大きな理由です。

何故、日本が参加していないのかの理由はまだ完全に調査していませんが、その一つとして、日本の地方自治体の議員や職員を体系立てて研修する期間が国としてないことが挙げられます(但し、神奈川県のような大きな自治体レヴェルでは、職員に対する研修期間は自前で持っている場合もある、但し議員や首長に対するものはない)。

日本にも地方6団体といって、町村・市・県レヴェルの議会と自治体をそれぞれ代表している(ように擬制されている)機関はありますが、やっていることは国への要望・陳情活動が主であり、なにより総務省天下り団体に成り下がっています。このような機関に国際的な視点をもって参加をする事自体の発想はなかったのかもしれません。あるいは、1999年当時、アジア諸国を見下す風潮があったかもしれません。

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以前、韓国の仁川市や京畿道を調査で訪れた事がありますが、国際的な調査のやり取りに対してなれている印象を持ちました。このような自治体間の国際的なネットワークを利用して職員を研修させていることも一因かもしれません。

事務局の方から個人的な参加を持ちかけられましたが(日本関係者はまだ0との事)、何か大きな宿題を頂いたような気がしました。同時に自分自身の無知を改めて認識させられました。