【県外調査】木質バイオマスの利用
県議会の有志の議員で3日間の視察を行いました。
視察の情報のさらなる詳細については、ホームページにてpdfファイルで公開をしています。こちらをご覧ください。
【概要】
岩手県議会棟の会議室において、林業振興課長及び担当職員から木質バイオマスエネルギーに関する説明を、パワーポイントなどを交えながら受けました。説明後質疑を行いました。
また、会議室でのやり取りの終了後、議会局総務課長より、岩手県議会内の見学をさせていただきました。
写真:岩手県議会会議室での説明の様子
【神奈川県の現状】
地球規模での気温温暖化の流れを受け、神奈川県においても地球温暖化対策を行っています。特に温暖化に影響があるとされる化石燃料の代替エネルギーとして家庭用太陽光発電の導入に力を入れていく方針を打ち出しています。
しかし、太陽光発電のみでは化石燃料の大量消費を代替することは困難であり、その他の新エネルギーも検討する必要があります。そこで、近年注目されているバイオマスエネルギーの中で、木質バイオマスに注目をしました。神奈川県においても県西部を中心に豊かな森林が広がっているためです。
【視察先現状】
岩手県は県土の77%が森林です。しかし、林業の衰退が森林の荒廃を招くという事態を引き起こしていました。そこで、循環型社会の観点と産業振興の観点から、木質バイオマスエネルギーに注目しました。
平成16年3月に「いわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プラン」を策定し、
① 未利用木質資源の有効活用による林業・木材産業の振興
③ 燃焼機器やペレットなどの生産・流通による新たな雇用の創出
以上3つの基本的な考え方のもとに「木質バイオマスエネルギー」の利用拡大を図り、豊かな森林を守り育てる循環型社会の形成を目指しています。当プランは、平成16~18年の第1ステージと平成19~22年の第2ステージに順を追って実施されています。
●第1ステージ(平成16~18年)
平成14年に開発された「いわて型ペレットストーブ」などの普及や、ペレットボイラー、チップボイラーの導入促進に取り組み、木質バイオマス燃焼機器の導入台数は全国トップとなったそうです。
特筆すべきは、CO2の削減効果として目標の73%を達成したということです。削減の目標値は5400トンであるのに対して、3954トンが削減されました。
●第2ステージ(平成19~22年)
第1ステージにおいて、ペレット、燃料チップ、木質バイオマス利用体制の3つにいくつかの課題が見出されました。ペレットの供給安定やチップボイラーの公共施設外利用の必要性や以上を下支えする社会的な仕組みの整備です。
今後、岩手県は第1ステージの課題点を改善しながら木質バイオマスエネルギーの産業化を図り、熱利用を中心とした木質バイオマスエネルギーの更なる定着を目指す方向です。
【神奈川県における課題克服の可能性】
神奈川県における森林の面積割合は39.2%となっています(2004年)。その大半は、県西の山間部に集中しています。林産物生産量は年々減少傾向にあり、産業としての衰退だけではなく、それに起因する山野の荒廃などが問題となっています。
産業振興という観点からは、岩手県におけるペレットやチップの利用のように、木材のカスケード利用の導入が検討可能ですが、その一方で製造施設や県民の受け入れ体制の確立などがなされないと逆に実用性はないとも考えられます。
循環型社会の確立という観点からは、現在神奈川県が進める新エネルギーの一つとして導入することには十分な検討の余地が見出せます。
今後は、コスト面や流通面での課題克服の過程を岩手県の例などを参考にしながら、しかるべきとき(費用対効果もある程度見込めるとき)には神奈川県でも導入をする余地があると考えます。
【その他】
岩手県議会内の各施設を見学しました。
【参考文献】
・ いわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プラン
・ 岩手県庁ホームページ(http://www.pref.iwate.jp/ )