タイの社会課題は?〜タイ王国社会開発・人間安全保障省(タイ王国社会開発・人間安全保障省)
タイ王国社会開発・人間安全保障省を訪れ、USANEE KANGWANJIT総括監察官より、同省の概説を受け、意見交換を行いました。
1.タイ王国社会開発・人間安全保障省
タイ王国社会開発・人間安全保障省は、管轄組織は、社会開発・福祉局、女性問題・家族制度事務局、児童・青少年・社会的弱者・高齢者の保護および安定支援事務局、国家障がい者福祉向上委員会事務局ほぼ全ての局の幹部職員の皆さんが対応してくださいました。
同省は、社会福祉、社会開発などを扱う省庁で、日本でいうと厚生労働省に最も近い機関です。
同省のヴィジョンは「責任の分かち合いに基づいた質の高い社会に向かって進め(Moving forward to a quality society on the basis of shared responsibility)」です。
同省のミッションは以下です。
①人々の生活の保障と安全を確保する社会福祉システムの想像(Create a social welfare system to ensure guarantee and security of people’s life)
②社会の変化や揺らぎから保護や本質を獲得するための人々や社会を開発ること(Develop people and society to achieve their quality and protection from social changes and fluctuations)
③全てのパートナーの社会開発への参加を強化すること(Strengthen all partners’ participation in social development)
④社会開発にかかる知識管理、可能性、行政システムを開発すること(Develop knowledge management, capability and administrative system of social development)
2.タイの抱える社会課題
タイの抱える社会課題は多岐に渡りますが、特に人身売買が大きな問題とのことでした。そして、この人身売買は貧困と大きく関わっており、前述したスラム街の問題とも関わってきます。
そして、このような人身売買において、買い手である外国人のあり方も問われており、人身売買とは国内だけでなく国外も含めて国際的な問題であるとも捉えることができます。
同省ではこの分野における取り組みも強化しているとのことでした。
3.高齢化に直面するタイ
タイの高齢化率は約15%で、ASEAN諸国の中では約18%のシンガポールについで第2位です。今後この割合は大幅に上昇し、2030年には高齢社会、2050年には30%を超える超高齢社会になると予測されています。この要因としては、日本と同じく、少子化や公衆衛生の向上などがあるとのことでした。
この高齢化による課題としては、今まで家族介護に頼っていたあり方の見直し、高齢者の生活環境の整備があげられていました。また、介護に至るまでの予防など、様々な取り組みの必要性を話されていました。
日本の介護政策に対しても関心があるようで、デイサービスのシステムを一例としてあげられていました。
JICAでは、日本型の介護システムをタイに根付かせる取り組みなども行っており、日本の介護はソフト面、ハード面の両面で可能性があると感じました。
最後に、省内にある障害者がつくった物品販売所を見学しました。
ご対応してくださった職員の皆さんに感謝申し上げます。
千里の道も一歩から
神奈川県議会議員
菅原直敏