菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

介護・福祉の施設・活動を巡る旅37件目〜ゴールドサポーター?!〜綾部市社会福祉協議会

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 京都府綾部市役所を訪問し、綾部市における担い手育成の取り組みについて、綾部市社会福祉協議会事務局長、綾部市高齢者介護課長等から説明を受けました。

 

 綾部市では、平成28年3月末で高齢化率が36.2%に達しました。これは平成52年(2040年)の日本の高齢化率の予測値と同程度です。高齢化率の視点だけで見れば、約20年後の日本の姿がそこにはあると言えるかもしれません。

 

 このような中、綾部市では市社会福祉協議会に委託して、認知症に限らず生活に困難を抱える人を支える担い手の育成に取り組んできました。

 

 ちなみに、綾部市は下着メーカーのグンゼの発祥の地です。登記上の本社は現在も同市であり、記念館もあるそうです。

 

1.担い手育成の仕組化

 

 綾部市では平成18年より認知症サポーターの育成に熱心に取り組んできました。平成28年3月末現在で9,000人程度のサポーターがおり、人口における割合は25.5%です。これは全国平均の5.5%を大きく上回る数字です。また、認知症サポーターの登録制も任意で行っており、3,000人程度が登録することで、社協から定期的な情報を受け取っています。なお、綾部市の取り組みは平成25年に全国キャラバンメイト連絡協議会推進委員会によって表彰されています。

 

 また、同時期にシルバーサポーターというステップアップの研修を開始し、平成21年からは厚労省が推進する生活・介護支援サポーター事業をゴールドサポーターに位置付け、さらなるステップアップの研修を行っています。平成28年3月末現在でシルバーサポーターは約2,300人、ゴールドサポーターは約370人いるそうです。なお、金銀両サポーターにもリングがあるようで、事務局長の腕には3色のサポーターリングが輝いておりました。

 

 認知症サポーター養成講座の課題として、その内容が入門的なため認知症の方を支える担い手の育成としては不十分であることやリング取得後のステップアップや活動開始への機会が少ないことが挙げられます。

 

 綾部市社協では、3種類の研修講座を順序立てて用意し、それぞれの研修にリングを用意することでわかりやすい動機付けも組み込むことで、担い手の育成を仕組化している点が、注目に値すると私は考えます。

 

2.認知症のみに特化しない地域福祉の担い手育成

 

 シルバーサポーターとは、綾部市社協が独自に作ったカリキュラムによって行われる研修を受けた担い手です。内容としては、綾部市の概要、地域福祉と自立、高齢期の心身の変化及び市内の高齢者の相談窓口といった内容を基本として、受講者のニーズに合わせてアレンジを加え、高齢者福祉全般への理解が深まる形になっています。講師は社協の職員が務めます。時間は60分程度です。現在2,000人強のシルバーサポーターがいます。

 

 ゴールドサポーターとは、厚労省が推進する生活・介護支援サポーター事業を綾部市版にした研修を受けた担い手です。研修内容は対人援助の基本、コミュニケーション技法、キャップハンディ体験、ニーズの考察、社会資源の考察及び社会資源マップづくり等、多岐に渡っています。講師は社協職員以外に大学教授や介護福祉士社会福祉士といった専門職が務めます。受講期間は5日間で20時間となります。現在、400人弱のゴールドサポーターがいます。

 

 シルバーサポーターには年2〜3回程度、ゴールドサポーターには毎月、サポーター向けニュースレターを送付しています。担い手のレベルに合わせて伝える情報の量と頻度を変えていく手法は非常に合理的かつ効果的であると感じました。

 

 また、両サポーターは認知症サポーターのステップアップ研修という位置付けですが、認知症のみに特化していない点が重要です。世の中で支えを必要としている人は認知症の方だけではありません。私はこの点が非常に大切であると考えると同時に、「地域福祉」の担い手を育成していこうという社協職員のみなさんの並々ならぬ思いを感じました。

 

3.学びから実践へ

 

 金・銀サポーターになった方の中から、地域福祉に関わる人が出てくるという成果も段々と出てきているそうです。例えば、地域サロン・認知症カフェの開所・運営やボランティアを行う人が増えてきたとのことでした。

 

 そして、この成果を単体の成果で終わらせない仕組も見逃せません。「ハッピーカード」という高齢者の方との援助にかかるエピソードを記入し、発表するための用紙の配布や、認知症サポーターを養成する側のキャラバンメイト同士が情報共有するキャラバンメイト連絡会といった場も提供しています。

 

 このような取り組みの結果、各サポーターの良い取り組みの情報が共有され、さらなる活動の底上げに繋がっているようでした。カフェへ人に集まってもらうやり方やカフェで足湯をやると輪ができるなど様々な有効な取り組みをご紹介頂きました。地域を越えて神奈川県大和市に住む私もその内容を聞き、情報共有できました。また、地域での実践に生かせそうで、聞いていてワクワクしました。

 

 その他、高齢者や認知症の方々及びその家族を応援する店をシルバーサポート店(55店舗)に認定したり、ゴールドサポーターの上にくらしサポート推進員という地域福祉のコーディネータを育成しようとする挑戦など、お話をお伺いしていて非常に勉強になりましたし、私の地域でも生かせそうなことも少なくありませんでした。

 

 上級認知症サポーター養成の先進事例ということで当初はお伺いしましたが、良い意味で裏切られた取り組みでした。

 

 説明の際、事務局長や職員の皆さんの楽しそうな雰囲気が印象的でした。このような雰囲気に今回調査した取り組みの自発性が感じられます。担い手を育成するという最も大切ですが、困難な取り組みに挑戦されている点に敬意を表し、また調査に対応して頂いたことに感謝申し上げます。

 

千里の道も一歩から

 

大 和市内訪問施設・活動:13件

神奈川県内訪問施設・活動:12件

神奈川県外訪問施設・活動:12件

 

綾部市社会福祉協議会のHPページ http://ayabe-shakyo.or.jp/manabi.html