菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜千里の道も一歩から〜

菅原直敏(神奈川県議会議員)議会報告ブログ〜共生の共創・自分らしく生きる〜

神奈川県議会議員菅原直敏の議会報告のブログです。神奈川県大和市選出。無所属。社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士。

タイ王国健康促進財団

タイ王国健康促進財団を訪れ、担当者より財団の概要をお伺いしました。また、説明の後、館内の展示施設を見学しました。

 

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タイ王国健康促進財団は、2001年に健康促進基金法(the Health Promotion Foundation Act)により設立された自治的な政府機関です。

 

目指すヴィジョンは、

 

「タイのすべての住人が、将来性をもち、健康的な社会と環境で暮らすこと(All people living in Thailand have capability and live in society and environment conducive to good health.)」

 

であり、同財団のミッションは、

 

「To inspire, motivate, coordinate, and empower individuals and organizations in all sectors for the enhancement of health promotive capability as well as healthy society and environment to support health promotion movement in Thailand.」

 

です。

 


Introduction to Thai Health Promotion Foundation (ThaiHealth)

 

 

 

1.3つの戦略と8つのハッピー

 

同財団は、3つの重要戦略(Tri-Power Strategy)として、以下を掲げています。これらは多岐にわたる公共の健康課題に対処するために必要で、相互に影響し合っています。

 

①知の創造(Creation of knowledge)

②社会的流動化(Social mobilization)

③政策による権利擁護(Policy advocacy)

 

また、HealthのHは、Happyも表しており、それらは以下の8つです。

 

①Happy Body

②Happy Heart

③Happy Relax

④Happy Brain

⑤Happy Soul

⑥Happy Money

⑦Happy Family

⑧Happy Society

ポイントは、Healthを身体面や精神面のみで捉えず、Happyという広い概念に置き換えることで、経済面や個人を取り巻く家族や社会の環境までをも念頭に入れている点です。

 

 

2.収入構造

 

同財団の収入は年間1億2千万米ドルにのぼりますが、タバコやアルコールを生産、輸入する業者に直接課される超過課税が財源となっています。興味深い点は、タバコやアルコールにかかる超過課税が健康増進のための目的税として使用されている点です。日本においては、両税ともに基本的には一般財源として使われます。

 

この超過課税の目的税化は、国民の健康増進への意識を喚起する上でも非常にわかりやすい仕組みなのではないかと感じました。同財団の取り組みによって、自分たちの健康促進に役立っていることが見えるからです。

 

一方で、日本の場合は、不定期に税額が引き上げられ、酒税に至っては、ビールと他の種類の税の不均衡が問題視されるなど、徴収時点でも国民の納得を得られているとは言い難い上に、使徒が一般財源のため、時として自治体の借金の補填に実質的に使われる可能性も否定できません。

 

日本のタバコ税、酒税のあり方を考える上でも参考になります。

 

 

 

3.エビデンスの重要性

 

同財団の取り組みで、特筆すべきは、エビデンス(根拠)に基づいてプロジェクトを進めていることです。

 

例えば、タバコ抑制計画では、タバコにかかる現状を明らかにし、どのような戦略でプロジェクトを進めるかを明確にし、その成果を数値目標も含めてフィードバックできるようになっています。

 

当たり前のことですが、地方自治体の進める政策でエビデンスベースで適切に進められているプロジェクトは意外と少ないです。例えば、神奈川県で知事が熱心に勧めている「未病」プロジェクトはエビデンスを取る方法もないまま、言葉だけが核政策に踊っています。

 

私たちの大切な税金が何に使われ、どのような効果を示しているのかをしっかり把握できなければ、適切な事業の見直しや発展はありません。

 

神奈川県の進める未病関連施策との関係で、大いに参考になる事例でした。

 

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対応してくださった財団職員の皆さんに感謝申し上げます。

 

千里の道も一歩から

 

神奈川県議会議員

 

菅原直敏